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「性による差別のない(男女平等)社会の実現」(柳 淑子 さん)

(公社)福岡県人権研究所 第189回定例研究会
2016年度 第1回 ジェンダー部会

「性による差別のない(男女平等)社会の実現」(柳 淑子 さん)

憲法制定から70年、男女共同参画社会基本法制定からもやがて20年、特に「緊要な課題」だったはずの「男女共同参画社会」創り。 現状は?国を挙げての取組みの“いい加減さ”“遅さ”の「ツケ」が回ってきていると言っても過言ではないでしょうが格差の固定化も加わり、「人権の確立」とは遠い状況です。だれもが安心して、働け、暮らせ、そして産みやすく育てやすい社会・環境づくりはまだまだです。一方、国の浮沈が問われるほどの現状だからこそ「性による差別のない社会づくり」には今がチャンスです。
 どうする・・・? 超少子高齢社会での全領域にわたる労働力不足は。年金と税金(支給と財源)は。
国は、労働と経済財政の支え手に①女性を②高齢者を③外国人を充てていますが。
 また「利用」・・?「1億総活躍」の掛け声で。女性の労働力と子宮を。
非正規雇用は。出産は。育児は。介護は。
どちらが強い・?「個」と「公」は? その関係は。
どちらへ向かう?「・・のため、家族のため、お国のため」等々。教育で。
格差の固定化。「多様化」「らしく」は真に選択権はある?
深め広めたい・・・LGBTについての課題。 
日本社会の底深くに横たわる「性別役割分担(業)」制度、慣習、意識は性による人権侵害を温存し、政権は憲法改正で逆流させようとさえしています。「人権確立へ」を「モノサシ」に、現状を確認し、課題とその克服への道筋を話し合ってみませんか。(話し合いたくて問題提起をいたします)

報告者 柳 淑子(やなぎ よしこ)さん プロフィール
1937年生まれ。教諭として福岡教育大附属久留米中学校が初任校。福岡県立高校(三井、福岡農業、浮羽工業)の各高校を歴任。国語担当。1998年退職。1970年代初めから一貫して女性問題に取り組んできた。学校教育では教育問題全般、両性の自立と平等、人権、性教育その他を重点的に取り組んだ。社会的には福岡県男女共同参画審議会委員、財団法人福岡県女性財団理事、福岡県男女共同参画連絡会議委員、ほかに太宰府市や那珂川町の男女共同参画審議会委員などを務めた。久留米市においては女性問題懇話会(後、名称改め)女性問題審議会委員を6年間務めた。同時に市民ネットである久留米女性会議(合併後は名称改め「えがりて」)代表を4年間務めた。現在は学校教育で進めたテーマと同じ領城で県内外の自治体、大学や高校、各地域の市民ネットワーク等での講演活動を行っている。「えがりて」としては男女共同参画社会の実現へ向けての劇「昨日・今日・明日 女と男」第1作、第2作の台本、演出を担当し、上演は合わせると100回を越える。また、「リプロダクティブヘルス&ライツと環境を考える会」に所属・活動。著書に『いきいきと生き抜くために』、共著に『おんな 明日への旅立ち』『人、この愛(いとお)しきもの』『母さん大丈夫だよ』『子どもたちは平和を創れるか』他数冊がある。

日時 6月26日(日) 午後3時~5時
場所 福岡市人権啓発センター
(ココロンセンター)研修室
福岡市中央区舞鶴2丁目5番1号 
福岡市健康づくりサポートセンター8階(あいれふ)
(福岡市営地下鉄「赤坂駅」から徒歩5分)

資料代 500円

<お問い合わせ>
(公社)福岡県人権研究所
電話(092)-645-0388/ 0387(FAX)

  • 2016年05月23日(月)09時48分

森崎和江と石牟礼道子 ―〈聞き書き〉がひらく世界―

(公社)福岡県人権研究所 第189回定例研究会
2015年度 第2回 ジェンダー部会
「森崎和江と石牟礼道子
 ―〈聞き書き〉がひらく世界―」

文化交流誌『サークル村』(1958年)における創作活動の模索の一つが、〈集団創造〉の理念であり、実践としての〈聞き書き〉であった。森崎和江の『まっくら』(1970年)は、文字が書けない読めないアトヤマの体験を、森崎が記録し、女性労働者の精神史としてよみがえらせた名作であり、〈聞き書き〉という方法が、ドキュメンタリーから文学へと離陸する可能性を示した点でも画期的な成果であった。森崎のこうした実践に大きな感化を受けたのが、女性交流誌「無名通信」のメンバーである。石牟礼道子『苦海浄土』も、中村きい子『女と刀』も、森崎の実践を抜きに語ることはできない。九州というマージナルな場で、とりわけ女というマージナルな立場から、なぜ世界的な作品が生まれたのか。
今年のノーベル文学賞受賞者は、ベラルーシの女性作家アレクシェービッチだが、『戦争は女の顔をしていない』(1985年)以来、彼女が一貫して用いたのが〈聞き書き〉という方法、すなわち〈同時代の苦難と勇気の多声的表現〉(授賞理由)であった。森崎、石牟礼をアレクシェービッチの先駆者としてとらえ、〈聞き書き〉の可能性について考えてみたい。

講師  井上洋子さん プロフィール
福岡県若松市(現北九州市)生まれ。九州大学文学部を卒業後、梅光女学院大学大学院博士課程修了。福岡国際大学教員を経て、福岡県人権啓発情報センター勤務。編著書に『五足の靴百年―南蛮文学の誕生とその広がり―』(野田卯太郎文学資料館編)、『サークル誌の時代―労働者の文学運動』(福岡市文学館)、『森崎和江コレクション』(藤原書店)、『柳原白蓮』(西日本人物誌20、西日本新聞社)など。

日時 2016年1月31日(日)午後2時~

場所 福岡県人権啓発情報センター
(ヒューマン・アルカディア)視聴覚室
福岡県春日市原町3丁目1−7
クローバープラザ 東棟 7階
(JR鹿児島本線「春日駅」から徒歩1分)

資料代 500円

<お問い合わせ>
(公社)福岡県人権研究所(担当:田中)
電話(092)-645-0388/ 0387(FAX)

  • 2015年11月09日(月)15時55分

私の出会った移住女性労働者たち

(公社)福岡県人権研究所 第185回定例研究会
2015年度 第1回 外国人部会・ジェンダー部会共催

私の出会った移住女性労働者たち
                講師 大川映子さん 権利ネットワーク・北九州
北九州市内の工場で発生した労災事故を会社側が隠蔽を図ったことがきっかけで、移住労働者の問題に係わるようになりました。その後、移住労働者の相談は、福岡県に留まらず、佐賀県や大分県にまで広がっています。職場は、建設業、鉄工業、ホテル業、繊維産業、食品加工業、農業の分野で、そこで主として働いているのは女性たちです。現在労働力の世界移動が拡大し、特にその女性化が進んでいますが、アジアの国々から来て日本で働く女性の数は年々増えています。その働き方(働かされ方)の中には私たちの想像を絶するものもありました。移住労働者の日本での働き方は、専門職から単純労働までさまざまですがこの間係わって来た研修生/技能実習生の実情をお話ししたいと思います。
 彼女たちのおかれた状況は、日本人女性の働き方を反映しています。彼女たちとの闘いの経験が、私たちの生き方/働き方を再考する機会となればうれしいです。

 大川映子さん  プロフィール
 1949年7月生まれ。子ども1人。1991年に離婚し自立。下田産業で事務員として勤務。1995年会社からリストラ名目で解雇される。解雇撤回ののち職場復帰したが、以後15年間職場からのいじめ・排除と闘う。2009年会社との間に和解を勝ちとる。この下田産業闘争をきっかけに現在のユニオン北九州を結成。現在副委員長。
 2007年に外国人技能実習生(インドネシア人)の労災隠し事件をきっかけに、以降実習生問題、日系ブラジル人女性労働者の問題に取り組む。地域の人たちと一緒に「実習生権利ネットワーク・北九州」を作り活動を行う中で、移住連ネットワークにも加盟する。実習生は大分、佐賀、福岡の地域で中国、フィリピン、インドネシア人等11件になる。

日時 6月28日(日) 午後2時~4時

場所 福岡市人権啓発センター
(ココロンセンター)研修室
福岡市中央区舞鶴2丁目5番1号 
福岡市健康づくりサポートセンター8階(あいれふ)
(福岡市営地下鉄「赤坂駅」から徒歩5分)

資料代 500円

<お問い合わせ>
(公社)福岡県人権研究所(担当:田中)
電話(092)-645-0388/ 0387(FAX)

  • 2015年05月29日(金)11時35分